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三好かがり[漆芸・螺鈿]

 

伝統的な螺鈿の技法を使って現代の都市の眺望を表現した漆芸作品が代表的です。
ここでは過去の代表作から、特にストライプ(縞模様)が印象的な作品をピックアップしました。

 

彩切貝蒔絵箱「Le Soir」

1988年 第35回日本伝統工芸展入選作 (撮影/斎城 卓)

 

初期のまだ具象性が強かった頃の作です。

 

彩切貝蒔絵箱「静夜」

1998年 第45回日本伝統工芸展入選作

 

ストライプの要素が少しずつ増えてきています。

それとともに、写実的から様式美への変化が徐々に出てきています。

 

彩切貝蒔絵箱「Midnight Session」

2001年 第17回日本伝統漆芸展入選作 (撮影/アートシード)

 

ストライプのモチーフを強く打ち出して、抽象性を高めています。

 

彩切貝蒔絵箱「黎明」

2004年 第51回日本伝統工芸展入選作 (撮影/アートシード)

 

何かかっちりとした印象ですね。

このあたりから、次のステップへの模索期に入っていくようです。

 

 

彩切貝蒔絵箱「City」

2015年 第32回日本伝統漆芸展入選作 (撮影/伊藤大輔)

 

余白とか間合いとか、縞の太さに変化をつけたりとか、従来の作風からの脱皮(あるいは飛躍)が感じられます。

 

[プロフィール]

1954年 香川県生まれ

1975年 漆芸家佐々木英に師事

1976年 聖心女子大学哲学科卒業

1984年 日本伝統工芸展初入選、作家活動に入る

1987年 第4回日本伝統漆芸展日本工芸会賞受賞

1988年 第28回日本伝統工芸新作展奨励賞受賞

1995年 Japanese Studio Crafts展(ヴィクトリア&アルバート博物館・ロンドン)

2001年 個展「彩切貝の系譜」(本間美術館・酒井市)

2003年 文化庁新進芸術家研修生V&A博物館(ロンドン)客員研究員として1年間ヨーロッパに滞在

 

2008年 第25回日本伝統漆芸展MOA美術館賞受賞

2011年 第51回東日本伝統工芸展朝日新聞社賞受賞

2016年 第33回日本伝統漆芸展奨励賞受賞

現在、日本工芸会正会員、日本文化財漆協会理事、NPO法人「壱木呂の会」副理事長

 

[論評](冊子「人は日々」より)

ここ数年の三好さんの創作には目を見張るものがある。一種の透明感というか、それこそ間合いの感覚と呼び得るものが、実感されてくるのである。そして目に見えるモチーフ的なものとしては、線状の貝や金で構成された縞模様が浮上してきている。

三十数年にわたる日々の作業の積み重ねというものが、わざを磨き感性を磨いていって彼女の感性的土台をなす音楽性を研ぎ出してきているのである。いよいよそのことに向き合っていくべきところに行き着きつつあるということなのだろう。工芸という〝ものの美〟の世界にリズムを持ち込むという、現代の工芸創作にほとんど見かけることがなくなったわざのレベルに挑戦していく資格を、三好さんは持っていると筆者は思う。