[人は日々]
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ギャラリー飛鳥は日本のアートマーケットの中枢としての長い伝統を持つ都心(日本橋、京橋、銀座)に1980年代から営まれているギャラリーです。
“汎太平洋民族美術”を表看板に、人間の根源的生命感溢れる造形物をコレクションしています。
現代美術や工芸作品も取り扱い、業界に喝を入れていくような存在でした。
昨年に油絵の麻生三郎(故人)の作品展を開催し麻生に対する再評価を促しましたが、オーナー永田雅之氏の観照眼は、日本アートマーケットの伝統が背景をなしています。
略歴
静岡県出身
1960年代末に河井寛次朗の陶芸作品に出会い、工芸・美術に関心を向ける
1975年中村正義事務所に入社
1985年東京・銀座にギャラリー飛鳥をオープン、“汎太平洋民族美術”を旗印としつつ現代アートの作品も扱う
[論評]冊子「人は日々」No.04より)
今年の春に麻生三郎のデッサン展が、麻生作品コレクションの第一人者の企画で開催されました。人物をデッサンしたある作品の前で、私は、これはどう見てもジャコメッティ以上だという感想を持ちました。それから数カ月後、永田さんと話をしていたら、「麻生はジャコメッティよりいいよ」と何気なく永田さんがつぶやいたので、「やっぱり、そうですよね。麻生はジャコメッティより深いよね」と私はうれしくなって声をはずませたものです。「うん、以前だったらAさんとかBさんとか、そういう話ができる人だった。今は二人とも亡くなって、わかる人がいなくなってしまった」と、永田さん。それから、現状のアートマーケットは“売れる”作品だけに興味が注がれて、アートとしてのクォリティはどんどんどんどん下がっていってる、という話になっていきました。