[人は日々]
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染織技法を使った造形表現です。英語表記ではファイバーアートもしくはファイバーワークと呼ばれています。
高橋さんの場合、初期は機で織った作品を作っていましたが、途中から「糸を織らない」で制作する方向——いわゆる造形表現の方向に進んでいきました。
モチーフとしては自然界から得てきたものが多いのですが、20世紀末あたりから社会的な事象にも関心を向けてきました。
2001年の9月にニューヨークで起こった同時多発テロ事件は、高橋さんの創作史においても区切りをなす出来事でした。
以後、植物の”種”を造形モチーフとし刻的な作品、あるいはインスタレーションによる表現が主体となっていきます。
略歴
1947年東京都生れ
1983年 第30回全関西展読売テレビ賞受賞(大阪)
1990年 武蔵野美術短期大学専攻科修了工芸デザインテキスタイル専攻
2003年 Mini Textile Art International Exhibition, Best Work賞受賞(ヘルソン/ウクライナ)/2006年The 6th International Biennial on Contemporary Textile Art Exhibition, 銀賞受賞(ヘルソン/ウクライナ)
他、海外での公募展入選多数、個展多数。
[論評]冊子「人は日々」No.05より)
…高橋さんもまた自分の創作において、「樹や森を創る」という思念を抱懐しているのだということに思い当たりました。
第4回個展のあたりから、技法的には“糸を織らないで使う”ということが主軸になっていきます。金網や、布をステッチしたものを支持体にして、そこに糸を染織用の糊で貼ったり糸で止めたりして、表面のマチエールを作っていく手法です。第4回展のときは絵画的な制作になっています。先史時代の人類が洞窟の壁面に描いた絵や、日本の古墳に描かれた絵などをイメージしたとのことです。“織らないで”表現するとどのようになるのか、と自問自答しながら試行錯誤を重ねていって、この洞窟壁画をモチーフにした制作を通過して技法が確立されていきました。