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『現代工芸論』の内容紹介

 

『現代工芸論』の内容(論点の紹介)
『現代工芸論』で論じている内容は以下の通りです。

 

1.現代工芸の社会的存在意義
  ① 工業的生産(量産・複製品)と美術(アート)創作の間で「工芸の役割は〈いいも の〉を作ることである」
  ② 手仕事の再評価――コンセプチュアリズム批判(素材と技法なしに表現は成り立た ない)
2.〈いいもの〉とは?
  ① 用(はたらき)のあるもの
  ② 長く使って愉しめるもの
  ③ 美しい形の美・素材の美・わざの美・取合せの美)
  ④ くつろぎのあるもの
3.「用の美」「用即美」の再考――「器(実用のもの)とオブジェ」の二元論的対 立の克服
  ① 「用の否定」について――「美術」志向と機能主義
  ② 民芸(民衆的工芸)における「用の美」「用即美」の考え方(「美の主体は民 衆である。」)
  ③ 新しい「用の美」「用即美」とは?
4.「長く使って愉しめるもの」を作るための条件とは?
  ① 現代生活の経済的環境(デフレ経済の中で手仕事をどう継続していくか)
  ② 永遠の美・はかなさの美・堅牢の美
5.「形の美」をどう実現していくのか
  ① 模写・模倣について――ミラーニューロンの話を参照しつつ
  ② 「繰り返し」仕事の意義
6.「素材の美」
  ① わざと「素材の美」の関係
  ② 特に自然素材の美について――「自然の色は彩度が高い」という命題
7.「わざの美」  「わざ」をどう定義するか  
  ①  最小のエネルギー・最短時間で最大の成果を得る
  ② カオス情報を非デジタル的に一瞬の内に処理する能力
  ③ モノにいのちを吹き込む能力
8.「取合せの美」――茶の湯・料理・床の間・着物・室内装飾・庭園・和歌・俳諧 ・芸能・‥‥
  ① 西洋近代の芸術観の相対化
  ② 「和の思想」について
  ③ 「もてなしは日本文化のエッセンス」をめぐって    茶の湯、余白の美、間の文化、未完の美、など
9.技法論―――表現と技術の関係
  ① 技術とは? 技法とは? 技巧とは? 技能とは?
  ② 技術と表現の関係をめぐる6つの命題
10.素材論―――表現と素材の関係
  ① 現代的造形の物質的基盤は複製素材であるということ
  ② 「素材の取り戻し」について ③ 自然・アート・複製の関係――「自然は芸術を模倣する」をめぐって
11.造形論の展望   物質の変容・物質の可能性・物質の限界を超えること
12.現代工芸のこれから―――二つの方向  
  ① 経済成長路線(デフレのリスクを負いつつ)にのっかりつつ。
  ② 新たなローカリズムを模索しつつ。