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吉田麻未[ミクストメディア]

[人は日々]

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創作のモチベーションは、‟自分自身と感じられるもの”と‟自分のものとは感じられないもの”との関係を探ろうとすることです。
方法的には、線描であれば線を引いていくのにある客観的なルールを設定して、それに即して描いていきます。
たとえば、渦巻の模様であれば、フリーハンドで線と線の間を可能な限り接近させて描いていくとか。
他の作品では、制作の中に他者が関わるような方法を設定したりします。
要するに「自分とは何なのか」「表現とは何なのか」を探求していくことが吉田さんのテーマです。
ここでは、美術大学大学院生時に制作した、出発点となる作品から、最新作までを紹介します。

 

 

「内側」 壁にフリーハンドで描いている

径3.2m

2014年 多摩美術大学絵画棟のアトリエにて

 

 

 

 

「二つの秩序」〈根源へPartⅠ-1〉出品作

(右、左とも)66×83cm

2015年

 

 

 

  

 

「不正確な8分の制作」多摩美術大学大学院修了展出品作

2016年

床の上の2~3m四方の枠の中で、4種の素材と送風機を使って即興で作品を制作する。時間は約8分間。制作の間、もう一人の人間が楽器を鳴らしている。楽器と作品素材は一対一で対応している。つまりひとつの楽器は定められたひとつの素材を指示している。楽器の使い方や順番には決まりがなく、演奏者の自由に委ねられている。

制作の様子は動画に記録されて、発表時には会場の壁面に映写された。

使っている素材は、木材、紙、石、砂など。

 

 

 

  

「BASE」 個展出品作

2016年

JINEN GALLERY・東京中央区

古いキャンバスの端切れをナイロン糸でつないでいる。来観者に一箇所鋏で切ってもらうやり方で来観者も作品制作に参加する。形は次第に変化していく。

 

 

 

PL4-33“birthday”」〈根源へPartⅡ-1〉出品作

2018年

リング状の紙を繋いでいく。繋ぎ方にルールと偶然性が仕込まれている。立体がだんだんと立ち上がってくるような印象のある作品。

 

 

 

 

「2019040721」 個展出品作 右写真は部分

2019年

JINEN GALLERY・東京中央区

線描に立ち返っての制作。ただし全身を使って描くような大作である。スケールが大きくなってくると、発生してくる偶然性も複雑化してくるようである。

 


[プロフィール]

2015年笹山企画〈根源へ展PartⅠ-1〉出品

2016年多摩美術大学美術学科油画専攻大学院修了/第1回個展(JINEN GALLERY・東京)

2018年〈根源へ展PartⅡ-1〉出品

2019年第2回個展(JINEN GALLERY・東京)

 


[論評]冊子「人は日々」No.03より)
「私」とはひとつの個体でありながら、「自分」と言えるものと「自分ではない」と感じさせられるものとで成り立っている。その狭間(ボーダー)を意識するところで「私とは何か」「表現とは何か」を問い掛けている。
 意識と物質、偶然と必然、自然と人為、他者と自己など、その境界線上では様々な出来事が起こってくるようである。最新作はそのスリリングな光景を体験させてくれるようだ。