[人は日々]
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山口県の萩焼の陶芸家です。
萩焼には珍しい黒い釉薬の抹茶碗を作っています。
原料はすべて作者自ら地元で採取したものを使っています。
漆器のようなマットな釉調の黒を求めていて、萩の伝統にはなかったものなので、特に焼成方法の研究開発に10年以上の歳月がかかりました。
そして今回のお披露目となりました。
略歴
1950年横浜市に生れる
1985年山口県萩市に移住
1992年陶房開設
2004年萩黒茶碗の研究に着手、今日に至る
[論評]冊子「人は日々」No.04より)
新作の茶碗は、1点を除いて、一部に赤みが、場合によっては全体にうっすらと赤みがかかっています。改めて、目指している〝黒〟のイメージを問うたところ、「漆の黒に、赤が入り、土臭さが残る黒」という答えが返ってきました。
「赤みを入れる」というところが植草さんの創意であり、おそらく十数年間の試行錯誤が求めてきたところのものなのでしょう。確かに、赤みの射した黒い茶碗は黒楽にも瀬戸黒にも見当たらず、現代に創作された新しい黒茶碗といえるかもしれません。
改めてこの茶碗に呼び名をつけることにしました。イメージとしては、夜明け前の東の空がほんのりと紅色を点す景色を連想し〝暁闇〟などといった言葉が浮かびましたが、イメージを限定しないことを考え、「萩黒〈紅薫〉茶碗(はぎくろ〈くれないかおる〉ちゃわん)」と名付けました。萩焼茶陶の新風となることを期待したいと思います。