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玉田恭子[ガラス造形]

[人は日々]

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衝立の形や開いた本の形をしたガラスのオブジェ作品が代表作です。
一見したところでは板状のガラスを数枚重ねて大きく波立たせた形をしています。
その中を複数の色ガラスで流れるような彩色がされ、文字が書かれています。
『源氏物語』の文章が書かれているようですが、見る角度によってほとんど見えなくなったりします。
制作のプロセスがかなり手が込んでいそうです。
古典的な雅びと、現代のガラス造形とがドッキングした独特の耽美的世界が表されています。

Murasakishikibu KYO  Koki

7.5×63×25cm

2017年

 

 

 

Murasakishikibu KYO Hitsuzuri

25×60×26cm

2018年

 

 

Murasakishikibu KYO Inori

6×29×13cm

2017年


略歴

1957年岐阜県関市生れ

1982年武蔵野美術大学卒業

1991年より国内外で個展、グループ展多数

1992年玉田Glass工房設立。溶鉱炉、その他すべての設備を自作設計製作し築炉。

2004年”MIYABI”を発想の基軸に創作を開始する。同テーマで香道、華道、書道、音楽など他領域のアートとのコラボレーションを試みる。

 


[論評]冊子「人は日々」No.03より)

“作品”というものは内部と外部から成り立っている、というのが創作家玉田さんの基本的な認識である。この両面性はしかし、決して対立的でも二元論的でもない。そうではなくて、最後の行に「一致をみないまま体表の外と中を行き来する」とあるように、両者が混然と一体化された状態で捉えられている。それでいながら、外側から見る視点と内側を見ようとする視点とがはっきりと意識されているわけである。
こういう“作品”の捉え方は私にはとても新鮮に感じる。玉田さんにあってそれを可能にしたのは、まさしくガラスという物質の素材感と、加工プロセスを通しての身体的な体験内容ではないかと思うのである。こういう視野の持ち方こそ、まさに“工芸的観方”とすべきものではないか。