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KATACHI BOOKSメールマガジン20

第20号[2026年2月27日発行]
目次

【TOPIC Ⅰ】新刊のお知らせ Ⅰ

『長沢岳夫作品集 WHAT IS COPYWRITING?』が

ようやく発刊されました。 Ⅱ

【TOPIC Ⅱ】

ガラス造形作家  大村俊二さんの作品集も出版されます。

【TOPIC Ⅲ】POST KOGEI(脱「工芸」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【TOPIC  Ⅰ】新刊のお知らせ Ⅰ
B5版 384頁/3月4日発売開始/発売元㈱リトルモア/価格6,300円(税別)

 

『長沢岳夫作品集 WHAT IS COPYWRITING?』が

ようやく発刊されました。

1970年代から2010年代まで半世紀の間、広告デザイン業界で第一線での活躍をしてきたコピーライター長沢岳夫さんの作品集がようやく刊行されました。当メルマガでも過去2回広報してきましたが、今回は本の内容についてお知らせしたいと思います。
長沢さんのデビュー作は、1970年の大阪万博のあと旧国鉄の「ディスカバージャパン」の広告の仕事ですが、この頃にしてすでにレトロな日本の風景を捉えた写真に「ミーン、ミーン、ミーン」という蝉の鳴き声を大文字でかぶせた構成は、当時の日本市民にはいわば一種意表を衝かれたというべき斬新さがありました。私にも記憶があって、当時を回想すると、まさに「モーレツ」から「ビューティフル(あるいは安らぎ)」へと、時代の空気が変換していく兆しを見事にキャッチしたものであったと思います。
続いて、稀代の天才アートディレクター石岡瑛子とのコンビによるパルコの数々の名作ポスター、そしてサントリーオールド、ローヤル、角瓶といったところですが、その後も、名だたるディレクター、デザイナーとのコンビで様々な企業広告の名作を遺してきました。(ここではとりあえず、代表作8点を右欄に紹介しておきます。)
その全業績の中から本書では220点ほどをセレクトして掲載し、加えて、主だった作品とアートディレクター、デザイナー、フォトグラファーとのエピソードや裏話が長沢自身の直筆で表されています。さらに、座談会(私も参加)、長沢さんが若い時分にデザイン雑誌に寄稿したエッセー、そして広告デザイン業界の錚々たる重鎮による、長沢さんへのオマージュを書いた文章など、長沢さんの創作世界の特質が多角的な視点から浮き彫りされています。それは970年代か80年代にかけての戦後日本の経済・文化の一つの頂点を語るものとなっているとも言えるでしょう。
これまでにも個人の作品集、記録集のようなものはありましたが、一つの時代を眺望するような視覚を広く深くとって編集された書籍は、斯界では画期的なものと、いう評価の声もいただいています。
  • 長沢さんのエッセーに書かれたアート・ディレクターの人々/浅葉克己、石岡瑛子、葛西薫、サイトウマコト、高杉治朗、戸田正寿、中島祥文、長谷川好男
  • 座談会出席者/長沢岳夫、河尻亨一、笹山央
  • 執筆者/箭内道彦、ニコ・ソウルタナキス、河尻亨一
  • 作家論「長沢のコピーライティングは嘘を吐かない」笹山央
  • 制作スタッフ/アートディレクション:葛西薫、カバーデザイン:井上嗣也

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出版記念記念して展覧会を、下記のように開催します。大法的なポスターを中心とした展示です。
表参道方面にお出かけの機会がありましたら、是非お立ち寄りください。
3月2日(月)-7日(土)
会場/ギャラリー5610
東京都港区南青山5-6-10 5610番館
Tel : 03-3407-5610

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬまで女でいたいのです。」

PARCO 1975年

AD:長谷川好男 photo:菅昌也

(本から転載)

 

 

「モデルだって顔だけじゃダメなんだ。」

PARCO 1975年

AD:石岡瑛子 photo:横須賀功光

 

 

 

「裸を見るな、裸になれ」

PARCO 1975年

AD:石岡瑛子 photo:横須賀功光

 

 

 

「鶯は誰にも媚びずホーホケキョ」

PARCO 1976年

AD:石岡瑛子 photo:横須賀功光

 

 

 

「ああ、原点」

PARCO 1977年

AD:石岡瑛子 photo:藤原新也

 

 

 

「どっちが人間らしいのか、判らなくなった。」

SUNTORY 1979年

Pl:浅葉克己・高杉治朗

 

 

「どこかにいる、未来のランボオが」

SUNTORY 1983年

Pl:高杉治朗・戸田正寿

 

「カラス」

ROPE 1983年

AD/D:サイトウマコト photo:若月勤

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【TOPIC Ⅱ】 新刊のお知らせ Ⅱ

ガラス造形作家  大村俊二さんの作品集も出版されます。

 

A4版 211頁/3月20日発売開始/価格4,400円(税別)
写真は表紙(表、裏、背)の画像です(現時点でまだ本になっていません。)

 

3月20日にはガラス造形作家大村俊二さんの作品集『Omura Shunji Glass Works 1991-2025』を出版します。
大村さんはガラスを素材として本格的な造形表現を目指しているアーチストであると、私は思っています。今から40年を溯ると、いわゆるガラス工芸作家と称する人は数えるほどにしか存在してませんでしたが、90年代に入ってから以降は、まさしく雨後の筍のようにガラスの創作を手掛ける人が増えてきて、本の数年の間に、どのぐらいの人がこの世界に入って来ているか、把握ができないほどになってきました。
そういう中で、本格的な表現世界に入っていく人もボツボツと増えてきて、それなりに興味を惹く仕事が見られるようになってきたのですが、そもそも「ガラス(の造形)って何?」というところがはっきりしていないために、一人一人の作家がそれぞれの道を個別に歩んでいくだけで、全体としての、たとえば「現代日本のガラス」と見なしうるような、そういった筋道といったものが全然立てられないできています。
しかし最近の大村さんの創作は、ガラスの物性を踏まえたてその核心からガラスの形を作り上げていこうとする志向を伺わせます。そこで是非これまでの制作を本にまとめることを大村さんに提言して、それが実現する運びとなりました。本のサブタイトルとして「Tranceparent Fluid & Fluctuating Objects
」という言葉を添えたのは、「透明な流体」(Tranceparent Fluid)と「ゆらぎ」(Fluctuatating)というところに、ガラスの物性の普遍性が求められるということを意味しています。
大村さんは年1回、大物制作のワークショップを行っているのですが、これも「宙吹き」による成形の限界に挑もうとする試みで、これも一つのガラスならではの世界かと思います。内容的には、その「大物制作」と「彫刻的造形(ガラスの自律の形)」と「オブジェ小品の世界」の3つの柱から成っています。
編集子としては、この3本の柱の組み立てを通してガラス造形の根源に迫る営みを提示し、これからの日本のガラス造形の展開に資する作品集となることを冀っています。
(H.S.)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[内容見本]

大物制作の現場紹介と作品

大物作品のページ(サンプル本画像)

 

彫刻的造形の可能性ーーソリッドワーク

彫刻的造形の可能性ーーパート思考

プロダクトと遊び

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上記の作品集の購入をご希望の方は、こちらからご注文ください。
「長沢岳夫作品集」は、編集担当者からの特典がついています。

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【TOPIC Ⅲ】POST KOGEI(脱「工芸」)

これからは、脱「工芸」 ㈠

 

このごろは政治の世界にもエンタメ化が進んできていて、国民は立法府に送り込む政治家を選出するにも、容姿や、選挙民におもねった言動や、動画でのはしゃぎぶりなどで判断して、公約とか政策とか政治的理念とか信条といったことには全然耳を傾けようとしなくなりました。以前、エンタメの業界に〝AKB総選挙″というのがありましたが、今の若い人はそのノリで現実の選挙にも臨んでいるようです。つまり、政治家に求められるべき〝徳性″ということも、完全な死語になり果ててしまいました。
私は昨年、これと同じ現象を、工芸やアートの世界でも身をもって体験しました。私は毎年、某工芸技術研修所で研修生を対象に「工芸概論」と題した講義を行っているのですが、昨年は、若い人を中心に「工芸」という言葉が指し示している世界にはまったく関心がないという態度を、あからさまに(しかい無言で)私に向けてきたのです。
「工芸」には関心がないのですが、何かを「作る」ということには、嬉々として興じているのです。その振る舞いは、「作る」ことは面白いが、それを工芸とかアートといった言葉で枠付けないで欲しい、言わんばかりです。これは実にショッキングなことでした。世代間ギャップということを深刻に感じて、自分はもう引退すべきであるかもしれないと感じ、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」の心境に浸ったりした。
しかしその後、ある本の中に書かれていた文章に出会って、気を取り直すことができました(往生際が悪いと言われるかもしれませんが)。どういう文章であったかは、ゆくゆく紹介する機会を作りますが、今は伏せておきます。
要するに、「工芸」はもう古い、これからは「Post Kogei(脱“工芸”)」だ、ということです。どういうことか。これからしばらく、このことについて書いていくことにします(「悦ばしきコトノハ」はしばらくお休みとします)。
(H.S.)

 


編集後記
かたちブックスめるまが便  第20号
発行メディア:工芸評論「かたち」 https://katachi21.com/
発行サイト:かたちブックス
Copyright(c)Hiroshi Sasayama 2024
本メールの無断複製、転送をお断りします。

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